膝関節
膝関節
など
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変形性膝関節症は、加齢や関節の長期的な使用によって、膝のクッションとして機能している半月板、関節軟骨などの軟骨組織がすり減って変性してしまう状態のことです。
中年以降の女性に発症しやすく、年齢とともに罹患率は上昇します。発症のきっかけは肥満や遺伝要因、外傷や感染など様々です。初期段階では立ち上がる際に痛みが生じ、徐々に階段の上り下りや正座が出来なくなるなど、日常生活に支障をきたす場合もあります。
変形性膝関節症は、明らかな原因のないものと、病気やケガなど明らかな原因のあるものとに分けられます。大部分を占めているのは、「明らかな原因のないもの」です。
多くの要因が重なって発症する病気であるために、発症に関係している危険因子には様々なものがあります。たとえば、「加齢」「肥満」「女性」「筋肉の衰え」「半月板損傷の既往」「O脚などの下肢の変形」「遺伝的要素」などです。
軟骨のすり減りや骨の変形の程度、患者様の年齢などを総合的に判断して治療方針を決定していきます。患者様の生活習慣や全体的な健康状態も考慮します。
治療目標は、痛みを軽減して膝関節機能の改善を図り、日常生活の動作を低下させないことです。日常生活の活動の調整や適切な体重管理を通じて関節への負担を軽減し、症状の改善を目指していきます。
必要に応じて非ステロイド性抗炎症薬や鎮痛薬を処方いたします。
治療は主に「運動療法」と「手術療法」「再生医療」に分けられます。
まず保存療法を行い、痛みが軽減しなかったり、病状が進行したり、日常生活に支障をきたす場合には、手術療法が検討されます。
半月板は膝関節にある組織で内側外側の関節包に付着しており、膝関節の安定化に寄与しています。
半月板は軟骨組織でできており、自然修復が困難です。
外傷性半月板断裂では受傷直後の強い痛みや腫脹、ロッキング症状と言われる膝関節が伸びなかったり曲がらなかったりして日常生活に大きく影響を与えてしまうことがあります。また、加齢とともに変形性関節症の進展とともに進行する変性断裂が原因となる場合があります。変性断裂の場合は明らかな外傷がなく、ロッキング症状なども起こりにくい特徴があります。
スポーツで膝をねじるなどの外傷による断裂と、加齢に伴う変性で起こる断裂があります。
スポーツの場合には、膝の前十字靭帯等の断裂を伴う場合もあります。また、アジア系人種に多いといわれる外側円板状半月板の断裂は、小学生などでも膝の痛みの原因となり得ます。
加齢の場合は、年齢を重ねるにつれて半月板が摩耗し、擦り切れ、無くなってしまった膝を守るために筋肉が収縮することで炎症を起こし、痛みが生じてきます。
外傷による断裂は、安静、鎮痛剤処方、関節内注射などが有効です。重度の場合は手術が必要になることもあります。
加齢による断裂は、緊急性の高い場合を除き、まずは筋肉の収縮を解消するための徒手療法や温熱治療、運動療法がおすすめです。
靭帯損傷は、半月板損傷と並びアスリートが発症しやすい疾患です。
関節の安定性を支える靭帯が部分的にもしくは完全に断裂した状態のことをいいます。スポーツ時や日常生活における事故が原因で起こりやすく、特に膝や足首の靭帯損傷が一般的です。
靭帯は関節を適切な位置に保つ役割を担っているため、損傷すると関節の安定性が損なわれて、痛みや腫れ、動きの制限などの症状が現れます。急性期を過ぎると症状は軽快してきますが、損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。これを放置しておくと、新たに半月板損傷や軟骨の損傷などを生じ、慢性的な痛みや腫れに繋がる可能性がありますので、違和感や不安定感を覚えた際にはご相談ください。
スポーツ活動中や交通事故などで「急に止まる」「急激な方向転換」「不適切なウォーミングアップ」「ジャンプの着地」などの動きをした際に受傷することがあります。
また、「強い衝撃」や「過度な運動」「長時間の反復動作」、「筋力の不足」などでも靭帯に過度な不可がかかり損傷のリスクを高めます。
痛みの特徴や損傷が発生した状況などを確認した上で診察し、損傷の程度を把握します。状況に応じてレントゲンやMRI検査を行っていきます。
治療方法は年齢や損傷した靭帯の部位などによっても異なりますが、初期であれば安静を保ち、患部を冷却し圧迫、挙上(RICE処置)を行います。これにより腫れと痛みを軽減し、損傷した組織の回復を促進します。腫れや痛みがひどい場合には、鎮痛薬などを処方しています。
重度の靭帯損傷、保存療法では改善がみられなかった場合には手術の適応となることもあります。
水腫とは、いわゆる「膝に水が溜まる」状態のことをいいます。
膝関節の関節包内には膝の動きを良くする為の滑液が満たされています。主な成分はヒアルロン酸とタンパク質であるこの滑液から、関節軟骨は栄養を補給しているため、なくてはならない存在です。
しかし、何らかの原因で滑膜に炎症が生じ、滑液が過剰分泌されてしまうと、毛細血管やリンパ管への排出が間に合わずに関節包内に溜まってしまうのです。
関節液(滑液)の過剰分泌は、滑膜の炎症に起因することがほとんどです。変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、痛風などにより、膝関節内で擦れてすり減った軟骨や骨のかけらなどが関節包を刺激することが原因で滑膜が炎症します。
また、スポーツや怪我による骨折なども原因となります。
関節水腫は基本的に、原疾患の影響により出現する二次的なものであるため、原疾患の治療が適切に行われなければあまり効果は期待できません。その為、原疾患の治療と並行して行っていきます。
治療方法は、原疾患によって服薬や対応も変わるため一概には言えないのですが、服薬と安静が基本となります。
成長期の若年者によくみられる疾患です。膝の下部の炎症により痛みが生じます。痛みの部位から成長痛と呼ばれることもありますが、オスグッド病はスポーツに起因する障害のため、正確には異なる疾患です。
スポーツを盛んに行っている10歳から15歳くらいの男の子に起こりやすい疾患で、ジャンプなど膝屈伸が多いバレーボールやバスケットボール、ダッシュやキックの動作をする野球やサッカーを熱心に行っている場合には特に発症しやすくなっています。
基本は運動時にのみ痛みが生じ、安静時には収まりますが、重症になると平常時にも痛みが出てくることがあります。
クラブ活動や部活動などで、熱心にスポーツを行うことが増える小学校高学年から中学生の時期というのは、男の子の成長期と重なります。
軟骨が急激に骨へと変わり、身長も伸びていきますが、筋肉や腱などは骨と同じようには成長出来ません。その為筋肉などの軟部組織は、成長期には柔軟性が低下し硬くなります。
そんな成長期に膝の曲げ伸ばし動作をやりすぎることは、筋肉や腱で繰り返し骨を引っ張り、過剰な負荷をかけることで未熟な骨や軟骨の一部がはがれてしまうことに繋がりますので、痛みや腫れが生じてしまいます。
初期段階で発見と治療開始をすることが早期復帰に繋がります。
応急処置は、膝のお皿の下に痛みや腫れを感じた場合はアイシングが有用です。氷で痛みのある部位を冷やしましょう。
その後の治療は、基本は患部を休めます。初期症状の段階であれば、練習量を減らし、安静にしていることで治ります。患部以外でしたら、トレーニングを続けることも問題ありません。
しかし、痛みを我慢して今まで通りの練習量で運動を続けると、症状が悪化して手術が必要になる場合もあります。
痛みや腫れが続く場合は、ストレッチやアイシングと併せて低周波治療や鎮痛剤や湿布薬の処方を行います。